2011年12月1日木曜日

ワニも蛇も一緒くた、混沌のタイ大洪水

雨季も終わりに近づいた10月、首都圏が未曾有の大洪水に見舞われた。
ニュースをみているとまたたく間に浸水エリアが広がっていくのがわかり、
南国にいるのに背筋が寒くなった。

21世紀にもなって、心臓部たる首都がこれだけ水びたしになった国も珍しいのではないだろうか。
しかし、タイ全土でみれば雨季の洪水なんて、ある意味風物詩のようなもの。
川沿いの平野部などでは毎年かかさず起こっている。
それで、乾季には必ず水不足になるのだから信じられない。治水が追いつかないのだろう。

タイで洪水といえば、必ず「ワニが逃げた」というニュースが流れるが、今回も例にもれず。
どうやら、こちらのワニ園というかワニの養殖場は、危険物を扱っておきながら
洪水対策というものをしたことがないらしく、このたびも100匹以上のワニが逃げ出したと
報道されている。もぐりのワニ園もあるだろうから、
実際の数なんか誰も把握していなさそうだ。

そして今回は、タイにいないはずの毒蛇までもが逃げ出したとのニュースが流れた。
どうやら民家でこっそり飼われていたものらしいが、猛毒で攻撃的ということで
当局でも早期に捕獲班を編成、目撃情報のあった地域に派遣した。

このグリーンマンバという毒蛇はアフリカ原産、タイには血清がないために、
政府は急遽アフリカからこれを輸入したという。
こういうところは対応が迅速で驚く。ちなみに、逃げたグリーンマンバの数は15匹。
被災地では、感電や伝染病に加えて、毒蛇やワニの恐怖にも怯えることになった。

それなのに、テレビを通してみる被災地の様子はどこかのどかだ。
投網で魚を獲ったり、たらいに乗った子供たちが水鉄砲で遊んだり。
小船の物売りだって早々に登場した。動じないのか気にしないのかはわからない。
けど、とてもタイ人らしい。水か引いた後にこそ試練が待っているのだろうが、
なぜか「この人たちなら必ず乗り切るはず」と確信できる。

工業団地では排水後の復旧作業が始まった。被災地の学校も始業のめどがついたという。
路上に溢れた水やワニがもとの場所に戻り、バンコクが再び本来の活気を取り戻す日も、
そう遠くはないようだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿