2014年8月1日金曜日

出家の季節

7月に入って2人の知人から「仏門に入ります」という通知がきた。仏教の入安居にあたるこの時期は、毎年こうして友人知人の誰かしらから出家のお知らせ、つまり「出家の儀式への招待状」が届く。雨季の風物詩だ。

タイの男性は、仏教徒であれば一生に一度、短期間でも必ず仏門に入ると言われている。一般的に社会人になる前の出家が多いのは、親孝行の意味が強いから。出家の儀式は成人式のようなものかもしれない。

だから、とっくに成人した男性が仏門に入るというと何か違和感を覚える。
以前、日本で不法滞在して強制送還となった知人(30代)が、タイに戻ってすぐさま仏門に入った。別の知人(40代)は、なかなかエゲツない商売で一儲けしたと思ったら突然仏門入りした。私の周りはこんなだから、今回の2人も「何かしたのか。みそぎだな?」と勘ぐってしまう。

ちなみに、ひとりは24歳。学生時代はヤンチャで両親を泣かせていただけに、今回の出家はまさに最大の親孝行となる。少し遅い成人式かな。お母さんが泣いて喜ぶ様子が目に浮かぶ。

もうひとりは50代。ギャンブル好きで生き方は刹那的、奥さんに愛想を尽かされた男。50代の彼については、どうしても出家の儀式の招待状が集金袋にしか見えなくて困ってしまう。しかも、出家期間は1週間… 。まぁ、現代の社会人はそう長くこもっていられないだろうけど。

こうして、どこかすっきりしない中高年の出家だが、世間はとても寛大だ。
我が夫も友の出家を祝福している。お財布が寂しい雨季に予定外の出費ときて、ついつい不機嫌になってしまう自分が、ものすごく偏狭に思えて悲しい。

在タイ14年、見た目こそすっかり現地に溶け込んでいる私だが、まだまだ内面まで同化するには至らないようだ。