2016年7月6日水曜日

日本は眩しかった

 約1年ぶりに千葉の実家へ行ってきた。日本は初夏、真っ青な
空が清々しい。日によっては真夏日なんて騒がれていたが、高温
多湿、熱帯モンスーン気候の国に16年も住んでいると「どこが?」
といった感じである。テレビで「今日は蒸し暑いです」という日
も、鼻の奥が乾燥してヒリヒリする。

 いつ帰ってきても、我が母国は整然としていて快適だ。WiFiの
感度もよく、ますますオーガナイズされていく成田空港。タクシ
ーは行先だけ告げればいいし、料金の事前交渉などもちろん必要
ない。実家ではシャワーの水圧が痛いほど強く、大雨でも停電の
心配は不要。すべてが規律正しく便利で圧倒される。あまりにい
い気候なのでウォーキングなどもしてみる。新道は広く安全で、
ゴミひとつなく、野良犬にも遭遇しない。野良犬どころか、猫も
みかけない。

 実は、帰省直前はプーケットの家を留守にする準備に追われて
「帰るのめんどくさい」なんて思ってしまうのだが、塵ひとつな
い成田空港に到着した瞬間に、そんな鬱々とした気持ちは吹っ飛
ぶ。そして、プーケットに戻る日が近づくにつれて、今度は日本
を離れるのが億劫になってしまう。

 それでも予定どおり夜のプーケットに戻る。空港ゲートを出る
と、客待ちドライバーたちが群れていて、むわっと湿った空気が
まとわりつく。我が家に変わりはなく、18歳の猫もなんとか元気
だ。家中散らかっているため、水も飲まずに掃除洗濯にとりかか
り、ソファに座ったきりでなんの手伝いもしない夫にキレつつも、
だいたいの片付けを終えて弱々しい水圧のシャワーを浴びる。雨
季に入り水不足は解消したようだ。雷が鳴ってるから停電になる
かも?念のためプラグ類は抜いておくか…。

 今朝まで停電や水不足の心配などない整然たる日本にいたとい
うのに、なんという違いだろう。ライフラインの次元で心配する
日常に、また戻ってきてしまったのだ。懐中電灯は各種備えてあ
る。シャワーなんて、水圧が多少弱くても水さえ出れば上々。不
便は多いけど、こんな生活のほうがなにかこう「生きてる」と実
感するのだから不思議だ。道ばたでは犬たちが寝そべり、庭を大
トカゲが横切る。私にはまだしばらく、こういう日常としての南
国島暮らしが向いている、ということなのだろうか。

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