2014年6月4日水曜日

タイの葬式と医療費

この年末年始は、なんと立て続けに2件のお葬式に参列することになってしまった。タイでお葬式に行ったのは在島14年目にして初めてである。

最初のお葬式はクリスマス前。友人(タイ人)の旦那さん(イギリス人)が亡くなった。世界を飛び回る忙しい旦那さんだったが、やっとリタイアして奥さんとのんびりし始めた矢先。体調に異変が起きて
からわずか1ヶ月だったという。

次のお葬式は年明け間もなく。14年来の知人の奥さん(タイ人)が永眠された。ICUに入院中の1年半、ほとんど意識はなかったという。先のイギリス紳士の訃報を知らせてくれたのが、この知人だっ
たのがなんとも切ない。

タイのお葬式は想像通り、あまり形式ばったものではなく、和やかな雰囲気さえ漂っていた。お焼香はお線香で、懐かしい顔も多く、軽食をいただきながら話がはずんだりした。イギリス紳士の葬儀には、管弦楽団やロックバンドが日替わりで演奏に来た。音楽好きな旦那さんのために奥さんが手配したものだ。

年明けの葬儀のほうは、地元の有力者なだけあって寺院内の会場は溢れんばかりの人で埋まった。最愛の奥さんを亡くしたばかりの知人を見た時はさすがに胸がつまったが、会場にしんみりした雰囲気はなく、喪主も各テーブルをまわりながらジョークを飛ばすほど。仮設テントの下、読経の時間以外は終始こんな感じだった。

いずれのお葬式でも、私の周りでは医療費がちょっとした話題となった。当事者も開けっぴろげなもので、イギリス紳士の奥さんは1ヶ月でいくらかかったかその驚愕の内訳について力説。初老の西洋人夫を持つ奥さんたちは真剣に聞き入っていた。ある人の夫(西洋人)が意識不明で3年以上入院し、お会計がなんと1億円にのぼったという話も飛び出して、みんなで震えた。

祭壇を前に下世話な話で盛り上がるなど不謹慎なようでどきどきしたが、これも自然体でタイらしいのかもしれない。足元では寺犬が寝そべり、夜空には月が浮かぶ。「死」とは日常の延長であるこ
とを再確認した。

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