2012年3月6日火曜日

運転手 逃走の理由-タイでの交通事故

タイは交通事故の多い国だ。中でもプーケット島は、毎年ワーストランキングのトップ常連という不名誉。マナーやゆずり合いなんて言葉は、はなから気にしていないような運転が目立つ。最も多いのはオートバイによる事故だが、主に新聞に載るのは観光客などを乗せたバンやバスの事故で、実に多くの場合において、運転手が現場から逃走している。

こんなニュースをみるたび、「無責任にもほどがある!」と憤慨していたのだが、最近になって、なぜこうも多くの運転手が逃げてしまうのか、その謎がとけた。知人のベテラン運転手によると、意外にも、彼らが恐れているのは事故現場での「袋叩き」なのだという。

例えば、小さな村などで子供をはねてしまったような場合、警察が来るよりも早く、感情的になった村民たちが運転手を引きずり出して痛めつけることがあるというのだ。濃厚な「ムラ社会」ならではの制裁といえよう。 
 
そういえば、この国の集団はなかなか過激だ。記憶に新しいのは反政府デモの無法ぶり。
事件がらみでは時々、出所したばかりの犯人を被害者含む村民で嬲り殺した、なんていうのもある。

こうした背景から、「事故を起こしたら、まず現場を離れる。ほとぼりが冷めたら、警察に行く」というのが運転手たちの間で定説となったようだ。もちろん、警察には行かず、逃走したままの人もいるだろうが・・・
ちなみに、現場を即効で逃げ出しても、あとで警察に出頭すれば、基本的にばっくれそのものに対するお咎めはないという。
なるほど、交通法規よりも社会的制裁のほうが恐ろしいわけだ、納得である。

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