2016年9月5日月曜日

微笑みの国から「幸せの国」へ

米国の大手情報サービス会社ブルームバーグが2016年度「世界幸福度ランキング」を発表、トップを飾ったのは、なんと我らがタイ王国だった。
この世界幸福度とは、失業率+インフレ率の合計をもとに出した指数ではかるという。正しくは「世界悲惨指数」を算出して、タイが「一番悲惨ではない国」だったのだ。ちなみに世界幸福度2位はシンガポール、3位が日本と続く。
タイの失業率は現在1.1%だそうだ。なるほど。確かに失業中で困ってるという人は周りにあまりいないかも。ただ、ローンを組みすぎて生活が苦しいとか、万年貧乏でお金がないとかいう人は常に一定数いる印象だ。あと、自営業や自称フリーランスが多く、何をしているのか職業は知らないけど、やたら羽振りがいい人もけっこういる。
インフレ率のほうは前年比0.1%程度の上昇とされている。これはもう、物価上昇についてはこの10年くらいで上がり切っちゃたのではないだろうか。2007年ごろの原油高騰期に何でもかんでも値上がりし、少し落ち着いたかと思ったら、今度はインラック政権が最低賃金を一気に50%も引き上げて、また値上げラッシュ。ただ、GDPも順調に伸びているせいか「みんなまんべんなく豊かになったなぁ」という実感はある。まぁ、徹底した国勢調査など実施していない国なので本当のところは謎だけど。
近年日本では「ワーキングプア」とか「若者の貧困問題」などが増えて社会問題になっている。タイではマイカー所有率が上がり、庶民の国外旅行もあたりまえ。日本へは観光とショッピングに行く時代になった。大学生でアルバイトをする人は少なく、親からたんまりお小遣いをもらう… 確かに幸せだ、恵まれている。しかも南国だ、みんな陽気で楽天的なのだ。
私が移住した頃は「微笑みの国」だったのが、今や「幸せの国」に進化した。日本より幸福で、おおらかな国。在タイ16年、不満はあるのに、不思議と居心地が良いと感じるのも妙に納得である。

2016年7月6日水曜日

日本は眩しかった

 約1年ぶりに千葉の実家へ行ってきた。日本は初夏、真っ青な
空が清々しい。日によっては真夏日なんて騒がれていたが、高温
多湿、熱帯モンスーン気候の国に16年も住んでいると「どこが?」
といった感じである。テレビで「今日は蒸し暑いです」という日
も、鼻の奥が乾燥してヒリヒリする。

 いつ帰ってきても、我が母国は整然としていて快適だ。WiFiの
感度もよく、ますますオーガナイズされていく成田空港。タクシ
ーは行先だけ告げればいいし、料金の事前交渉などもちろん必要
ない。実家ではシャワーの水圧が痛いほど強く、大雨でも停電の
心配は不要。すべてが規律正しく便利で圧倒される。あまりにい
い気候なのでウォーキングなどもしてみる。新道は広く安全で、
ゴミひとつなく、野良犬にも遭遇しない。野良犬どころか、猫も
みかけない。

 実は、帰省直前はプーケットの家を留守にする準備に追われて
「帰るのめんどくさい」なんて思ってしまうのだが、塵ひとつな
い成田空港に到着した瞬間に、そんな鬱々とした気持ちは吹っ飛
ぶ。そして、プーケットに戻る日が近づくにつれて、今度は日本
を離れるのが億劫になってしまう。

 それでも予定どおり夜のプーケットに戻る。空港ゲートを出る
と、客待ちドライバーたちが群れていて、むわっと湿った空気が
まとわりつく。我が家に変わりはなく、18歳の猫もなんとか元気
だ。家中散らかっているため、水も飲まずに掃除洗濯にとりかか
り、ソファに座ったきりでなんの手伝いもしない夫にキレつつも、
だいたいの片付けを終えて弱々しい水圧のシャワーを浴びる。雨
季に入り水不足は解消したようだ。雷が鳴ってるから停電になる
かも?念のためプラグ類は抜いておくか…。

 今朝まで停電や水不足の心配などない整然たる日本にいたとい
うのに、なんという違いだろう。ライフラインの次元で心配する
日常に、また戻ってきてしまったのだ。懐中電灯は各種備えてあ
る。シャワーなんて、水圧が多少弱くても水さえ出れば上々。不
便は多いけど、こんな生活のほうがなにかこう「生きてる」と実
感するのだから不思議だ。道ばたでは犬たちが寝そべり、庭を大
トカゲが横切る。私にはまだしばらく、こういう日常としての南
国島暮らしが向いている、ということなのだろうか。

2016年5月7日土曜日

幸せ感じてますか?

暑季でまとわりつくような暑さが続いている。何をするにも億劫だが、
気晴らしにタイ人の友達とエアコンが効いたバーに飲みに行くことにした。
なぜか友人はひとりウキウキと楽しげ。
話を聞くと、もうすぐタイ中部のシンブリ県まで瞑想合宿に行くという。

時々この友人は、白い服の上下を着て大きな寺院を背景に撮影した画像を
送ってくるのだが、それにまた行くらしい。白い服は、プーケットなら
ベジタリアンフェスティバルでよく見るあれだ。仏教の修行服という感じだろうか。

今回は、うちの近所にある行きつけの美容室のお姉さんと一緒に参加してくるという。
2人は一緒に出かけるような仲ではないが、瞑想合宿となると別らしい。
なんでまたそういう経緯になったのか尋ねると、
「私がよく瞑想合宿に参加してるのを知ってるから、今度一緒に行きたい、
連れて行って!と言われた」とのこと。
普通の旅行だとちょっとない組み合わせだが、瞑想合宿とは色んな垣根を取っ払うようだ。

今回のその合宿は期間が1週間以上と長め。数百人の熱心な仏教徒が集まり、
毎日ひたすら瞑想修行に励む。寝床も食事も提供される。そういえば20年くらい前、
バンコク郊外の大型寺院でカップラーメンをいただいたことがあったが、
あれも瞑想合宿だったのだろうか。

白い服を着た1000人くらいの人が集まってガヤガヤやっていた。
ジーンズ姿の旅行者などが立ち寄って、しかも軽食までお世話になっていいのか焦ったが、
一緒にいたタイ人ガイドさんは「大丈夫だから」と言っていた。
そういえば、売店でびっくりするほど高い翡翠のお守りを売っていたな。

シンブリに行く友人は裕福でいつも活動的なので、1週間もお寺にこもるなんて
辛くないのか尋ねると、「修行の間はすべてのことを忘れるの。
家のことも旦那のことも犬たちのことも。
そうすると、合宿が終わる頃にはすっきりしてまた頑張れる!」と幸せそう。
なるほど、一種の現実逃避か。私がRPG(ゲーム)の世界で、
ひたすら無心にレベル上げに励むのと一緒ではないか!

普段から毎日幸せそうな友人だけど、実際はまぁ色々あるということか。旦那さんはともかく、
愛犬たちのことまで忘れるとはな。しかし、大勢と一緒に慎ましく修行することで、満たされ、
幸福感を得られるというのはとても羨ましい。

毎週お寺の瞑想教室に通うご婦人も周りにいるので、いつかのぞいてみたい世界ではある。
でも、やっぱり新しいゲーム機を買うほうがワクワクしてしまう自分には、
まだ入れない異世界なのだろうな。

2016年2月1日月曜日

「ヘビとSNSには要注意」

年明け早々、プーケットのスネークショー施設で、観光客がニシキヘビに鼻を噛みつかれるという衝撃動画がフェイスブックで広まった。

鼻を数針縫うはめになったのは中国人の女性(20代)。動画を見ると、飼育員がとぐろを巻いたニシキヘビを抱え観光客たちに見せているところに、被害者の女性がおもむろに顔を近づけガブッ!とやられている。現場は飼育員やお客さんたちの悲鳴に包まれた。うっかり大音量で動画を見ていた私は、驚いて飛び上がってしまった。

飼育員のおじさんによると、「いつもどおり、スネークショーの後にニシキヘビと記念写真を撮りたいお客さんはいないかまわっていたら、急にひとりの女性が顔を近づけてきてヘビにキスをしようとした。ヘビは驚いてパニックになったようだ」という。ちなみに、かつてヘビがお客さんに噛みついたこともなければ、ヘビとキスをしようとしたお客さんもいなかったそうだ。

スネークショー会社の対応は早かった。代表者は「プーケットでの治療費はもちろん、中国国内での治療費も負担する」と発表、被害届が出されなかったことについて「被害者女性の不注意で起きたような事故なので、責任を感じているのだと思う」と述べた。

意外と対応が手厚いな、と感心したのもつかの間、今度はこの会社に未登録のヘビがいたことが明らかになり、認可されるまで業務停止というオチがついた。

気の毒に、被害者女性はフェイスブックに縫った鼻のどアップを晒されただけでなく、見ず知らずの大勢からたたかれる目に遭った。「2.5メートルものヘビにキスするか?」「ヘビが可哀想だろ」「また中国人が事故起こした!」などなど。

衝撃動画の絶叫(大音量)に震え、SNSの怖さを思い知り、「私も色々気をつけよう…」 と本気で思う新年。2016年もよろしくお願いします!




2015年12月2日水曜日

タイの田舎の同窓会

【タイの田舎の同窓会】

我が夫が年に一度の「泊まりがけ同窓会」に行ってきた。場所はイサーン
の田舎、小学校の同窓会である。2年ほど前に母親の死をきっかけに、
数十年ぶりに田舎を訪れ同級生たちと再会、それ以来毎年行われる同窓会
に出席するようになったのだ。

夫もそうだが、同級生の多くは故郷を離れ暮らしていることと、
同窓会が3日間の大イベントということもあり、みんな数日泊まりがけの
参加となる。夫に至っては1週間の休暇をとる気合の入れようだ。今年は
お揃いのポロシャツをオーダーする係とやらで、出発前に取りに行ったり
郵送したり、嬉しそうに走り回っていた。

3日間のプログラムは、村人総出のウェルカムパーティーから始まり、
バスハイク、山登り、船遊びなど盛りだくさん。寺院では故人となった
同級生たちの供養も忘れない。実にタイらしい。

帰省中LINEで送られてくる写真と動画は、どれも「子供かっ!」
というようなものばかりで、何もない田舎での、ほのぼのと幸せな
幼少期を想像させた。写真の中でひっくり返って赤い顔して寝ている人も、
おどけて肩を組んで大笑いする人たちも、もとはみんな洟垂れ小僧
だったに違いない。

さて、楽しい同窓会旅行から戻った夫のもとに、後日宅配便が届いた。
中身は仲良しグループの写真入りマグカップ。
いったいどうするのだろう… と注視していたが、夫は躊躇なく、
それで毎朝コーヒーを飲んでいる。
楽しかった同窓会の余韻を味わうように。

カップは2つ送られてきた。普段ならすぐに戸棚にしまいこむ私だが、
しばらくはキッチンカウンターの特等席に飾っておこう。
たまには夫のノスタルジーに付き合うのもいいではないか。

2015年9月30日水曜日

ようこそ、ホットシャワー様

我が家でホットシャワーが復活した。
アツアツのシャワーが使えるのは実に2年半ぶりである。
もともとはソーラー温水器でホットシャワーやお風呂を使っていたのだが、
6年を過ぎたあたりで貯湯タンクの水漏れが始まり、
まともになおせる人に出会えず(プーケットあるある)、
絶えず垂れ流される水がもったいないので
水栓を止めてしまったのだった。

それがちょうど暑季のことで「水シャワーでも案外いける」ということに気づき、
あっという間に2年半。雨季の涼しい時期はさすがに苦痛だったが、
温水器の設置もなかなか大掛かりになるのでなんとなくやり過ごしていた。

そして今回、ゲスト用バスルームの天井を張り替えるにあたり、
ついでに温水器を設置することになった。前の家でもソーラーだったので、
私にとっては初めての温水器となる。ホームセンターをめぐり、
しっかり熱い湯が出るという熱水器を買って取り付けてもらった。

ソーラーシステムからの変更なので、新たに配管したりして
上のほうでチューブがむき出しになってグルグルしているが、
そんなのはどうでもいいくらいの快適さ!
湯がアツアツ!なぜかぬるめにしようとすると一気に冷水に
なってしまうのだが、それでもいい。ホットシャワーはアツアツが正義!!
タイ人の夫には熱すぎるみたいで、1度使っただけで
自分の部屋の水シャワーに戻ってしまったが…

そういう私も、特に暑い日は水シャワーだ。
電気代が気になるのでバスタブにつかることも少ない。
お風呂復活で嬉しくて入浴剤などを揃えたが、はしゃぎすぎてすぐのぼせた。
それでもやはりホットシャワーは素晴らしく、
今度は自分の部屋のバスルームにもまた欲しいと思っている。
さて実現するのは何年後かな?

2015年8月3日月曜日

「幸せならいいじゃない」

私の周りには、家庭を2つ持っている旦那さんがけっこう多い。
ここがプーケット島だからかもしれないが、1つはここ、もうひとつはバンコク、
というパターンがほとんどだ。そうした旦那さんたちは圧倒的な経済力を持ち、
どっちの家庭も不自由させることなく養っている様子。
奥さんたちは、みんな美しく上品で幸せそうにみえる。
なにかこう、経済力を含めて能力の高い男に見初められた女性、という感じだ。

この国は女性が自立して生きてゆくのは難しいところがあるので、みんなが幸せ
ならこういう形も有りだと思う。
いっぽうで、経済力は低めなのに奥さんが複数いるというケースも少なくない。
我が家の修繕にくるたぐいの男性によくみられるのだけど、数日作業の際などは
日替わりで違う奥さんが世話を焼きにくる。作業あとの掃除や片付けをしたり、
飲み物を買ってきたり。中には作業そのものを手伝うたくましい奥さんもいる。

先日うちに芝の張替えにきていたC氏もそんなひとり。
特に目立ったモテ要素はみあたらない。うちに出入りして5,6年経つが、
作業2日目で初顔の女性がきた。チャラチャラとした人で、
別に世話を焼くわけでもなく東屋に座っているだけ。応援担当なのか。
本妻はこまごまと動くので間逆のタイプだ。

作業最終日、5歳くらいの娘も一緒にきた。鍬だの鉈だの転がっている中で
ちょろちょろと遊んでいたのだが、作業が終わり大人たちが片付けをしている間、
娘がその辺に咲いていたプルメリアの花を耳元に飾り、「ねー、かわいいー?」
とC氏に聞いている。

片付けで忙しいC氏だが、「ああ、可愛いよー」と相槌。すると娘は嬉しそうに、
今度は両方の耳元に花を飾って、「2個つけたよ、かわいい?きれい?」
と何度も聞きにくる。
その度にC氏が、「すごく可愛いよー、なんてキレイなんだ!」
と声を張り上げて応える。重たい道具を汗だくで運びつつ、
ちゃんと娘を褒めている。
そんな光景をみて、少しだけC氏がモテる理由がわかったような気がした。
きっと色々あるのだろうけど、C氏の周りの女性は幸福度が高そうである。
非常にうらやましい。