2012年3月27日火曜日

たんこぶ2つで済みました・・・

いつも新聞の3面記事などをネタにしている私だが、先日は、あやうく自分が載ってしまいそうな事故に遭遇してしまった。在島12年、初めて命の危機を感じた出来事である。

その日は、普段から親しくさせてもらってる友人4人とシレイ島で早めのディナーをすることになっていた。私たちお気に入り、海辺のローカル食堂だ。この食堂、あまり商売っ気がなく夜8時には店じまい。なので私たちはいつも5時くらいには集まり、水平線や遠くに浮かぶ島などの景色をみながら食事を楽しむことにしている。手付かずの自然があふれるところなので、暗くなったら景色もなにもない。

その日も夜7時半には「そろそろ解散かな」という雰囲気に。すると急に風が強まり雨が降ってきた。いかにも南国らしい、季節の変わり目の天気。私たちも別段あわてることなく、「おさまるまでゆっくりしていこうか」ということになった。テーブルのあるところは、屋根にトタンを張っただけの簡易なつくり。すぐそこは海だし、壁がないので突風がすごい。

いよいよ雨が吹き込んできたので、男性陣が雨よけのビニール幕をおろし始めた。食堂のおじさんは忙しいので、こういうのは客のセルフとなる。とりあえず雨がよけられてホッとする我々。すると突然、雨風の音に交じってバリバリという轟音が響いた。同時に頭上の屋根が柱ごと倒壊、一瞬でみんな下敷きになってしまった。

電灯も引きちぎられて真っ暗な中、一同テーブルの高さまで腰をかがめて唖然。そんな中、
誰かが携帯電話を懐中電灯代わりにして瓦礫の中から出口を確保、みんなで這いずって近くのトイレまで避難した。外はもはや暴雨風で、ほんの数メートル先の食堂入り口までが遠いこと!

互いの安全を確認しあった時には、みんなずぶ濡れだった。さっきまで食事していたほうをみると、ぺしゃんこ屋根の残骸が。ゾッとする光景だったが、幸い重傷者はいなかった。
後で聞いた話だが、感電したら大変なので、倒壊と同時に食堂のおじさんが電源を切ったという。

頭にたんこぶ2個をつくった私と脇腹を強打した友人は、念のために翌日病院へ。たいしたことはなかった。医療費は食堂の隣の店のオウナーが払ってくれた。なんとこの事故、隣の店の屋根が突風で倒れ、私たちのいた屋根に寄りかかったのが原因。なんでも隣は屋根を修繕中で、柱の土台が固まりきっていなかったのだという・・・ 

もはや誰の責任かわからない事故だが、たいしたけがもなくて不幸中の幸い。たんこぶ痕をさすりながら「宝くじでも買ってみようかな」と思う私は、いよいよ「タイ化」が進んでいるのかもしれない。

2012年3月6日火曜日

運転手 逃走の理由-タイでの交通事故

タイは交通事故の多い国だ。中でもプーケット島は、毎年ワーストランキングのトップ常連という不名誉。マナーやゆずり合いなんて言葉は、はなから気にしていないような運転が目立つ。最も多いのはオートバイによる事故だが、主に新聞に載るのは観光客などを乗せたバンやバスの事故で、実に多くの場合において、運転手が現場から逃走している。

こんなニュースをみるたび、「無責任にもほどがある!」と憤慨していたのだが、最近になって、なぜこうも多くの運転手が逃げてしまうのか、その謎がとけた。知人のベテラン運転手によると、意外にも、彼らが恐れているのは事故現場での「袋叩き」なのだという。

例えば、小さな村などで子供をはねてしまったような場合、警察が来るよりも早く、感情的になった村民たちが運転手を引きずり出して痛めつけることがあるというのだ。濃厚な「ムラ社会」ならではの制裁といえよう。 
 
そういえば、この国の集団はなかなか過激だ。記憶に新しいのは反政府デモの無法ぶり。
事件がらみでは時々、出所したばかりの犯人を被害者含む村民で嬲り殺した、なんていうのもある。

こうした背景から、「事故を起こしたら、まず現場を離れる。ほとぼりが冷めたら、警察に行く」というのが運転手たちの間で定説となったようだ。もちろん、警察には行かず、逃走したままの人もいるだろうが・・・
ちなみに、現場を即効で逃げ出しても、あとで警察に出頭すれば、基本的にばっくれそのものに対するお咎めはないという。
なるほど、交通法規よりも社会的制裁のほうが恐ろしいわけだ、納得である。