2011年12月28日水曜日

祝!タイの民間航空会社にニューハーフ乗務員

タイの民間航空会社が、世界で始めてニューハーフの客室乗務員を採用した。その数4人、新規採用者が 計30人だというから、けっこうな割合ではないか。

ところで、世界初ということはタイでも初ということ。これだけニューハーフが多いこの国にしては 意外である。採用したのは新興の「PCエアー」という会社だが、業界の反応は微妙らしい。
某大手などは、「世間受けが悪い。社のイメージダウンになる」とまでいうが、近年目に付く高飛車な 女性乗務員よりも、あたりの柔らかなニューハーフのほうがよっぽど感じがいいのではないだろうか。
なにしろ、長身で腕っぷしが強いというだけで客室乗務員には相応しいはず。まさに適材適所といえよう。

ただ、国外での混乱は避けられないかもしれない。旅券上の性別と外見が真逆の場合、各国の入国管理局が どう対応するかだ。保守的な国でのトラブルは十分予想できる。

あと、ニューハーフの採用について「どうせ新興会社の話題づくり。宣伝じゃないか」と批判する声も 上がっている。しかし、PCエアーの代表はこれをきっぱり否定、
「当社の雇用はすべての性に(第三の性にも)平等」と断言する。

とはいえ、将来は定期便の運航も目指す同社の広告塔は、ニューハーフのミスコン「ミス・ティファニー」 の2007年の勝者で、既にモデルや女優としても活躍中のお方。
退屈な機内で、世界の頂点に立ったニューハーフのサービスを受けてみたい・・・
と思う私は、ミーハーすぎるだろうか。

2011年12月1日木曜日

ワニも蛇も一緒くた、混沌のタイ大洪水

雨季も終わりに近づいた10月、首都圏が未曾有の大洪水に見舞われた。
ニュースをみているとまたたく間に浸水エリアが広がっていくのがわかり、
南国にいるのに背筋が寒くなった。

21世紀にもなって、心臓部たる首都がこれだけ水びたしになった国も珍しいのではないだろうか。
しかし、タイ全土でみれば雨季の洪水なんて、ある意味風物詩のようなもの。
川沿いの平野部などでは毎年かかさず起こっている。
それで、乾季には必ず水不足になるのだから信じられない。治水が追いつかないのだろう。

タイで洪水といえば、必ず「ワニが逃げた」というニュースが流れるが、今回も例にもれず。
どうやら、こちらのワニ園というかワニの養殖場は、危険物を扱っておきながら
洪水対策というものをしたことがないらしく、このたびも100匹以上のワニが逃げ出したと
報道されている。もぐりのワニ園もあるだろうから、
実際の数なんか誰も把握していなさそうだ。

そして今回は、タイにいないはずの毒蛇までもが逃げ出したとのニュースが流れた。
どうやら民家でこっそり飼われていたものらしいが、猛毒で攻撃的ということで
当局でも早期に捕獲班を編成、目撃情報のあった地域に派遣した。

このグリーンマンバという毒蛇はアフリカ原産、タイには血清がないために、
政府は急遽アフリカからこれを輸入したという。
こういうところは対応が迅速で驚く。ちなみに、逃げたグリーンマンバの数は15匹。
被災地では、感電や伝染病に加えて、毒蛇やワニの恐怖にも怯えることになった。

それなのに、テレビを通してみる被災地の様子はどこかのどかだ。
投網で魚を獲ったり、たらいに乗った子供たちが水鉄砲で遊んだり。
小船の物売りだって早々に登場した。動じないのか気にしないのかはわからない。
けど、とてもタイ人らしい。水か引いた後にこそ試練が待っているのだろうが、
なぜか「この人たちなら必ず乗り切るはず」と確信できる。

工業団地では排水後の復旧作業が始まった。被災地の学校も始業のめどがついたという。
路上に溢れた水やワニがもとの場所に戻り、バンコクが再び本来の活気を取り戻す日も、
そう遠くはないようだ。

2011年11月13日日曜日

初めて車を買い替えた-タイの車事情

実に11年ぶりに新車を購入した。当時こちらに移住するにあたって買ったのが、
4WDモードを備えた1600ccのSUV。小型だけどちょっとくらいの洪水ならへっちゃらのタフな自動車だ。日本では絶対に選ばないけど、島暮らしを始めることでいくらか逞しい車にしてみたのだった。

あの頃は「バンコクのほうが値引きもきくし、オプションもたくさんつけてくれる」ということで、わざわざ首都まで買いに行き、帰りは800キロメートル以上の道のりを運転。
日本円で200万円近くしたけど、もっと安い乗用車などほとんどなかった。

ところが、タイでも近年格安コンパクトカーが続々と登場、去年はついに120万円台の
ものまで出てきた。11年ものの愛車もこの2年は修理続きだし、まだエンジンの価値があるうちに手放して便利なコンパクトカーに買い替えよう、という思いに至ったのだ。

お目当てのコンパクトカーがさっくり決定、おまけに即納車だというので、早く愛車の買い手をみつけなければならない。ディーラーでも以前よりは積極的に下取りしてくれるものの、少しでも高く売るために街の中古車屋をあたることにした。

中古車屋めぐりのほうは6年ぶりだ。夫の軽自動車を購入して以来。あの時は30万円台の車もわずかにあったが、今はそんな安いのなんかない。どの中古車屋も、店頭に堂々と並ぶのは大きな高級SUVばかり。どれも真新しいのがポイントだ。

いったい、どれだけの人が後先考えずにローンで新車を買い、すぐに手放しているのか・・・ そういえばここはそういう国だったな。中古車屋でもピカピカSUVが主流だというのに、私のくたびれた11年ものなんて買い取ってくれるのか?と心配したが、さすがはタイランド、エンジンルームをチェックして、ろくに試運転もせず50万円以上の値段をつけてくれた。

そういえば、ここでは走行距離もボディーのへこみも下取り価格には関係なかったっけ。
というわけで、思い立って1週間、思い出いっぱいの愛車を見送り、今我が家の車庫には今風のコンパクトカーがとまっている。

いろいろなことを思い出した時間だった。次に買い替える時はどうだろう?ささやかでいいから、幸せな思い出で満たされていればいいな、と思う。

タイ暮らし、感情抑えて受け流せ! 1.8バーツの支払いを拒否した殺人事件

なんでも値上がりでうんざりしていたところ、なぜだかわからないが、急にガソリンが値下げされたので慌てて給油所へ行ってきた。電車も地下鉄もない、路線バスさえも当てにならないこの島では、車かオートバイに乗るしかない。だから、ガソリン価格がダイレクトに生活にひびいてくる。

半信半疑で給油所へ行くと、本当に値下げされていた。なので、いつもよりちょい多めの700バーツ分でオーダー。ちなみに、マイカーの燃料は政府奨励エタノール混合の「ガソホール95」だ。国産の原料を混ぜて、原油の輸入を抑えようという政策。エタノールはキャッサバ芋から作れるからね。

というわけで、700バーツを準備して給油が終わるのを待っていると、店員のお兄ちゃんがにこにこしながら、「500バーツにしちゃった」というではないか。えーっ!と思ったけど、待ちの車も多いし、お兄ちゃんの笑顔に免じて許すことに。些細なことじゃないか。毎日車を運転するわけじゃないから、これで2週間は持つ。ちょろまかされた訳でもないし。

実はこの時、少し前に新聞で目にしたニュースが頭をよぎった。わずか1.8バーツ、日本円にして6円足らずが原因で起きた殺人事件。タイ東部の給油所で、600バーツ分のガソリンをオーダーした客が601.8バーツ分を給油されて激怒、1.8バーツの支払いを拒否した。しかし、店員も負けずにあくまで601.8バーツを請求、口論の末に客を拳銃で撃ち殺してしまった。

「1.8バーツくらい払えよっ」とか、「ミスったんならそのくらい自腹切れっ」とか、「店員がなんで拳銃持ってんだよっ」とか、つっこみどころの多い事件だが、この国ではムダに感情的になってはいけない、ということを思い出させてくれた。なんでも「マイペンライ」というわけではない、微笑みの裏に隠れた影の部分を。

というわけで、最近はイラつくことでもできるだけ受け流すように努めている。目くじら立てて恨みを買ったってしょうがない。おつりのちょろまかしだって、笑みを浮かべてやんわり抗議。これで夫への不満も流せれば、家庭円満なのだろうけど。まぁ、菩薩さま並の修行が必要だろうな。(2011年10月)