2013年9月25日水曜日

去りゆく人々

去年あたりから、身近なところでこの島を引き上げ故郷へ帰るという話をちょくちょく聞くようになった。長年シロアリ駆除の消毒をしてくれていた知人もその ひとり。もともと夫の友人だし英語も流暢なので、シロアリ駆除だけでなく、よく世間話をしたり、路上でエンストした時に来てもらったりもした。

ところが去年、いつものように契約更新をしようとすると「田舎に帰ることになった」と言うではないか。なんでも実家は中部地方の田舎で果物農園を運営しているとのこと。以前から、いずれはあとを継ぐと決めてたらしい。のんびりとスイカやランブータンを育てて暮らすそうだ。

10年来の知人で去った人がもうひとりいた。最近音沙汰がないと思ったら、今は東部ラヨン県で働いているという。シェフなのでここよりいい仕事がみつかったのかもしれない。

さて、親しくはないが急に去ってしまってとても困ったケースもある。まずは芝刈りのおじさん。もう3年くらいお世話になっているが、これまでで一番良い仕 事をしてくれていた。おまけに安い、ここ重要。今年になってトラックが新車になっていたから「値上げしないと悪いかなぁ… 」と思っていた矢先だった。いつもいい頃合いに来てくれるのだが2ヶ月経っても現れない。3ヶ月に入ったところであきらめた。

そして、ごく最近がプールの掃除人。先月から突然姿を見せなくなってしまった。この人は気はいいのだがダメ男で、結婚しても数カ月で奥さんが出て行ってしまった。プール掃除もよくサボっていたけど、約4年通ってくれていたからマシなほうかな。

去ってしまったら代わりの人を探すだけ、これまで何回も経験してきたはず。いい大人が連絡もせず辞めてしまうのもよくある話。こういうのに慣れるのも、ここで穏やかに暮らしていく秘訣かもしれない。

2013年8月1日木曜日

贅沢すぎる僧侶

久々にとんでもない僧侶が登場し、新聞を賑わせている。タイ東北部出身のこの僧侶は、プライベートジェットに乗り、高級ブランド品を身につけ、タイ 国内のほかアメリカにも豪邸を所有するというスケールの持ち主。活動はグローバルで、詐欺、淫行などの容疑に加え、資金洗浄や薬物取引にも手を染めている らしく、タイの敬虔な仏教徒たちを驚愕させた。

この僧侶のことはYouTube通じて一気に広まった。ブランドもののサングラスをかけ、耳にはイヤホン、バッグも一目でわかる高級ブ ランド品。もちろん黄色い袈裟姿。誰がアップしたのかわからないが、動画は瞬く間に再生数20万回を突破し、世界的にも注目を集めることとなった。

この僧侶の悪行は、毎日のニュースで次々と暴かれている。ベンツを22台所有とか、実家の両親まで豪邸に住んでるとか、とにかくケタ外 れな贅沢ぶりである。さらには、10年前に13歳の少女に子供を産ませていたことまで明らかになった。ちなみにカネは「仏像を建てる」などと嘘をつき、信 者から巻き上げていたようだが、なにしろケタが違うため薬物方面の容疑も出てきたらしい。

詐欺にエロにクスリ。普段から生臭坊主のニュースは多いが、これは別格、めったにない。めったにないが、私は一連の報道を見て、10年 以上前に悪名を轟かせた僧侶Nを思い出した。さんざん悪事を働いたのに、なぜか逮捕されずアメリカ暮らし。今度の僧侶と酷似してると思ったら、なんとアメ リカで2人がつるんでいるとの噂があるというから笑ってしまった、お似合いすぎる!
ここまできたら、誰かに2人一緒のところの動画をアップしてほしいものだ。逮捕前に、是非とも。

2013年5月31日金曜日

タイにもあるよパンダ外交

チェンマイ動物園の人気者、パンダのリンピンが、婿探しのために10月から故郷の中国へ行くことが決まったそうだ。 タイ生まれのリンピンも早4歳、もうそんなお年ごろだとは。中国側によると、婿探しの期間は1年くらいとの予測だという。

無事お相手が見つかれば、すぐさまタイに帰国。というのも、タイ政府と中国政府との間で、新たに15年間の「パンダ貸借契約」が結ばれるため。貸借料は年間100万ドル、日本円で1億円以上だ。

リンピンの両親であるシュアンシュアンとリンフイについても、この10月に10年間の貸借契約が切れる。こちらの契約更新については、年間50万ドル、日 本円で約5150万円にて話がついたらしい。当然ながら、パンダ一家はチェンマイ動物園で手厚く飼育されていて、その生活費は年間1000万バーツ(約 3400万円)、3頭分の貸借料と合わせると、年間5400万バーツ、日本円で1億8000万円以上の大金となる。

これだけかかっても、やはりパンダ一家の経済効果は絶大で、地元チェンマイはもちろんのこと、国にもしっかり還元されているという。ちなみにチェンマイは、現首相やその実兄、タクシン元首相を輩出したシナワット家のお膝元。

また、チェンマイ動物園では、入園料の70バーツとは別にパンダエリアについては別途50バーツがかかる。パンダ関連のイベントも多く、特にチェンマイ生まれであるリンピンの誕生日イベントなどは盛大に催される。

しかしながら、タイ政府やチェンマイ動物園の「パンダさまさま」といった方針を疑問視する声も上がっている。パンダ一家が「雪のドーム」まで建ててもらっ た一方で、ゾウの暮らしぶりなどは実に慎ましく、「タイのシンボルを忘れちゃいないか?」といった批判が出ているのは、ちょっと切ない。

2013年4月1日月曜日

プーケットオールドタウン祭り

2月中旬に、プーケットオールドタウン祭りへ行ってきた。中国系タイ人たちが中心となり、
錫の産出で栄えた「黄金時代」を懐かしむというローカルにして盛大な祭りだ。

我々はまず、順路に従いオールドプーケット写真館から見てまわった。
道路の真ん中に建てられた小屋には、半世紀くらい前のタウンの様子や本土と繋がる
サラシン橋の写真とともに、当時島を訪れた国王陛下の写真が数多く展示されていた。
むしろ国王陛下がメインのようだ。道路もないような赤土の上を歩かれている姿が印象的だった。

さらに即席写真館の外では、プロジェクターによる投写も行われていた。
中国ポルトガル様式の建物群に写し出された映像は、音声付きでガチャガチャしていたけれど、
とにかく当時の活気が伝わってきた。

そのままメイン通りへ向かった我々は、人混みの中でプーケット伝統料理の「ロバ」屋台を発見、
つまみながら学生たちのバンドやダンスなどを眺め、ぶらぶらとしながら入り口へ戻った。

すると、写真館付近の特設ステージではお年寄りのスピーチが始まっていた。
内容は、国王陛下が島を訪れた時の思い出話。半世紀も前の話を事細かに、
思い出をいつくしむかのように語る。年配のご婦人のひとりは、陛下の前で歌を披露したことを、
まるで昨日のことのように嬉しそうに話していた。

この時以降、国王陛下は島を訪れていない。その後プーケットの錫産業は衰退し、
今では世界有数のビーチリゾートに生まれ変わった。
新しいものばかりを追うような日常で、古き良き時代を振り返ることは大切だと思う。
実に良い祭りだった。

2013年1月28日月曜日

お手軽すぎる銀行強盗

お手軽すぎる銀行強盗

日本では目にすることのない事件が起こるタイランド。
新年早々、ごく近所で起きた銀行強盗も一風変わっていた。
フルフェイスのヘルメット姿で白昼堂々と登場した男は、カウンターの行員ひとりに拳銃をつきつけ
現金を袋に入れるよう指示、約26万バーツを手に入れると、悠々と現場を立ち去った。

犯行時間わずか37秒。目撃者によると、犯人のオートバイにナンバープレートはなかったという。

この銀行は私も利用したことがあるが、確かに警備員がいない。しかも、1年前にも強盗に遭っている。
その時の被害額は65万バーツ、犯行時間は60秒だったという。今回はさらに短時間になったということだ。

なお、この犯人は数ヶ月前にも別の支店に押し入っており、この時は270万バーツを強奪、犯行時間は約60秒。
ちなみに11月に逮捕されている。だから、同じ短時間でも37秒の犯人とは別ということだ。

最初から大金を狙わず、短時間で切り上げる手口は近年増えているのだろうか。
こんなローリスク・ローリターンの銀行強盗では、お手軽すぎて映画にもならないな。
とにかくこの辺の銀行は警備が手薄のようなので、なるべく長居しないように気を付けなければ。
まぁ、万が一事件に出くわしても、37秒で犯行が済んだらこちらも気づかないだろうけどな。

2012年11月26日月曜日

意外と厳しい?タイの交通取締り

先日、イサーン料理屋さんで食事をしようと、いつものように路上駐車をした。最初は店の向い側、つまり、店からみると反対車線のほうに停めようと頑張ったのだか、コンパクトカーちょうど1台分と思えたそのスペースには、やけに大きなゴミ箱がありぴったり幅寄せできない。

ふと店のほうをみると、小さな空き地に友人の車が停めてあるのがみえた。そして、その鼻先にやはりコンパクトカー1台分とみられるスペースが。友人の車をブロックする形になるが、どうせ一緒に帰るのでよかろうと判断し、ひょいっと通りを渡ってそこに駐車した。

やっと友人たちに合流してガイヤーンやソムタムをつついていると、タイ人の友人が、「今日はあそこに停めたの?あの向きはちょっとまずいかも」といい出した。私が気になったのは、友人の車を遮るように停めたことだったが、なんと「向き」がまずいという。

つまり、進行方向に逆らって駐車しているのがいけないという。いくらしっかり幅寄せして、他の通行車両の邪魔になっていないとしてもだ。日本人の友人と「えええーっ!?初耳!!」と驚いていると、タイ人の彼は「土曜日の夜だし、交通警察も見回りにはこないと思うから(そうなのか?)、次から気をつけたほうがいいよ」と流した。

日本人の友達と、「もっと厳しくすべきところが山盛りなのにねぇ、バイクの無謀運転とか逆走とか。T字路の信号無視とかムリな追い越しとかさっ!」と呆れてしまった。

しかし、いつの間にか別の話題で盛り上がり、、食事のほうもさらに牛肉のあぶり焼きやゲーンリヤンがでてきたころ、今度は店のおじさんが、「あの車、向きがまずいから空き地に移動したほうがいいよ」といってきた。店の人がそういうなら仕方ない。空き地のほうもスペースができていたのですぐに移動してきた。

おじさんいわく、大通りなので(メールアンです)警察も通ることが多いと。実際に、私みたいに反対向きに駐車して切符を切られた人も過去にいたとのことだ。

移住して間もないころ、プーケットタウンにて駐車違反の切符を切られたことがある。私が停めた側の道路は偶数日しか駐車してはいけなかったのだが、私はそれを知らず、「やけにすいているな、ラッキー」と思ってしまったのだ。

在島12年。優良ドライバーと思っていたけれど、まだまだ知らないことだらけである。

プーケット島のトンデモ祭り、ベジタリアン・フェスティバル

今年もこの季節がやってきた。今やその痛々しさが世界的に有名になりつつある「ベジタリアン・フェスティバル」である。太陽暦の9月1日から9日間行われるこの祭り、今年は10月15日からの開始となった。

中華系のお祭りだけにタイ全土で行われるのだが、プーケット島のそれだけは、奇祭として未知の刺激を求める世界中の人たちの注目を浴びるようになってしまった。タイ国政府観光庁(TAT)も積極的にこれを利用し、近年では特設ホームページ(英語)まで用意する始末。期待を裏切ってはいけないとして、島の人たちもさらに気合を入れている(ようにみえる)。

この祭りの奇祭たる所以は、ずばりその痛々しさ。別名「串刺し祭り」といわれるように、頬に串やら刃物やらを突き刺した白ずくめの団体さんが街中を練り歩くのだ。中には拳銃のように物騒なものや、マイクスタンドや自転車といったどでかいブツを貫通させている猛者もいる。

さて今年は、シンガポールから18年来の友がこの串刺し祭りを見にやってきた。彼は10ヶ月前から、「来年のスケジュールはわかるか」だとか、「宿はどこにしたらいいか」とか騒いでいた。私が祭りに興味ないものだから役に立たず、結局は自力で色々調べてやってきた。

待ち合わせ場所にした食堂には、祭りの掟どおり白い服を身にまとった友がやってきた。バックパッカー時代の友達4人も白ずくめだ。メンバーは、医学博士の我が友を筆頭に、医者やらIT系やら各国で活躍中のエリート揃い。既に朝の串刺し行列をみた後ということもあり、この奇祭について熱く意見を交わしていた。

我が友はプーケットタウンに2泊し、朝はメイン会場に参拝、夜は「火渡りの儀式」を見にサパンヒンまで足を運んだ。先進国ではまず見れないような光景に、エリートの面々は何を思ったのだろう。

そして日常に戻った友は、さっそく旅の写真をメールしてくれた。祭り関係はデータが膨大らしく、圧縮してある。解凍するのに勇気がいるが、データの量が友の満足度を表わしているようで安心した。忙しい友のプーケット島での非日常は、まんざらでもなかったに違いない。